みなさんの職場には労働組合で発行している新聞はありますか? 本部や執行部が出すもの、分会で出すものなどいろいろなものがあると思います。 

 組合員への周知、意見の集約のためにも、職場新聞を発行しましょう。

職場新聞の目的

①組合から組合員への情報発信。
②組合執行部と組合員の問題意識の共有化。
③組合員の組合運動に対する信頼感を高める。
④新聞作成に多くの仲間が関わることで組合運動への関心と自主性を高める。
⑤職場の仲間同士の連帯感を高める

職場新聞をつくる原則

①定期発行しよう
いちばん大切なことは、なるべく発行頻度を多くし、定期発行することです。年4回の季刊発行より月刊、月刊より週刊、週刊より日刊がベストです。
日を決めて定期化することで、ニュース性も高まり、読者が次を待つようになります。ですから隔週とか隔月発行は読者の注意をそらしてしまうことになるので、オススメできません。

②あまり気合を入れすぎずに
発行体制にもよりますが、少人数(特に1人)で作らざるを得ないときに、あまり気合を入れすぎると、あとが続かなくなり、定期発行できなくなります。

③みんなで作ろう
1人だけで作ると長続きしなかったり、「なんでオレばかり苦労しなきゃならないんだ」と団結を強めるための新聞が仲間のいがみ合いを生む可能性が出てきます。
分担を決めて、仲間でワイワイつくることで団結も強まります。

④手渡しをしよう
社内便で済ませたり、ファックスやEメールだけでは人間的なコミニュケーションが生まれません。顔を見ることで相手の様子がわかったり、会話も生まれます。組合員の職場委員や組合役員への信頼感のもとになります。

基本的なポイント

①タイトル
タイトルは新聞の顔です。名前も「青年部ニュース」というものよりも職場や組合の雰囲気を表すものがよいでしょう。タテ書きは本文がタテ書きの場合にスッキリしますが、メールアドレスなどの記載がうまくいかないので、最近はヨコ書きが目立つようです。

②見出し
見出しは記事の本文に含まれている言葉を使い内容を簡潔に表すことと、読者の目を引くことが必要です。あまり「!」や「?」を多様すると紙面がゴタゴタしてしまいます。

③文章はあまり多くしない
紙面をビッチリ字で埋め尽くしたのではどこを読んでいいのかわからず、読む気が失せます。写真やイラスト、見出しの効果的な配置で文章の面積は全体の50~60%くらいにしましょう。

④写真・イラスト
暗い部分が多い写真やイラストを多用すると、紙面が暗くなるばかりでなく、リソグラフなどで印刷したときに、ドラムに張り付いたり、紙面が汚れたり、ウラうつりします。トリミングしたり明るさを調整しましょう。また、写真をコピーしてから貼り付けたり、イラストをトレースして写してから使うのも手です。

⑤パソコンと手書き
パソコンのワープロソフトなどを使えば、大変ラクに作成できますし、修正や保存もラクです。しかし、どうしても紙面がそっけないものになります。同じような活字では仕事の書類に埋もれてしまいます。特に簡単なビラのときは手書きにするといいでしょう。見出しやタイトルは手書きがオススメです。自信がないのなら活字でつくったものを一度プリントアウトして、手書きで縁取りや斜線をつけるのがいいでしょう。デジタルデータにしたいのであれば、それをスキャンして画像として貼り付けるようにしましょう。
最初からすべてをパソコンでやろうとせずに切り貼りして紙面の割付の感覚を身に付けるのもいいことです。

⑥漢字
パソコンで作成すると、普段使わないような漢字や自分で読めないような漢字、同音異義語を使ってしまいがちです。あまり漢字を多用したり読めない漢字があると、硬い印象になり読む気が失せます。まず、ひらがなで考えてみて、自信のない漢字は辞書を引くようにしましょう。「~等」「という訳で」「~位」などは使わないことが基本です。

⑦段落
ズルズルと文章が続くと読みにくくなります。リズムを考えましょう。「」や()を多用するとリズムが悪くなります。基本的には「」や()のある行末は改行するようにします。数字をつけて項目を並べるようなときも①・・・②・・・③・・・④・・・⑤・・・としないで、項目ごとに改行するほうがいいでしょう。

⑧「、」「。」
「、」はリズムと意味を考えて使いましょう。あまり多すぎても少なすぎても読みづらくなります。
「。」は文章の終わりにつけますが、「」や()の中の文章にはつけないほうが読みやすくなることもあります。

⑨行間・字間
記事を詰めたいがために異常に狭くすると大変読みづらくなります。それは文章が多すぎるのです。また、タテ書きの文章なのに字間より行間が狭いとヨコ書きのように見えて読みづらいことこのうえありません。

⑩用語
組合員にはストライキを経験している世代から新入組合員までいろいろな仲間がいます。組合用語や職場用語などを使うときには解説欄を入れるか、欄外に注釈を加えるようにしましょう。
特に役員が日常的に使っている「ベア」「定昇」「単組」「産別」「ラスパイ」などに気をつけましょう。

大きさの違い

出すたびに変えると読者の混乱を招きます。

①B4
紙面が大きく取れますが、複数の記事を入れなければバランスが取れません。また、ファイルするときに不便です。しかし、職場の普通の書類より大きくビジュアル的な見せ方を生かせますので、職場で配ったときに目立ちます。

②A4
記事の量は少なくて済みますが、コンパクトにまとめなければなりません。

③A3以上
壁新聞やポスターに向いています。職場で配ると目立ちます。

レイアウトの違い

①用紙タテおきタテ書き段組あり
いわゆる普通の新聞形式です。複数の記事を読みやすく並べたり、注目させたい記事を目立たせたりと紙面にアクセントをつけることができますが、ある程度の知識や技術が必要になります。

②用紙ヨコおきタテ書き
ビラなどの言いたいことをズバリ表現するのに向いています。紙面が単調になるので、多くの記事を入れるのには向いていません。記事の量が少なくて済むので、日刊紙など発行頻度を高めることができます。

複数の記事を入れるために段を組む場合は2段~3段程度がいいでしょう。

③用紙タテおきヨコ書き
②と大体同じですが、数字を使った表などがスッキリ入ります。
複数の記事を入れるために段を組む場合は2段~3段程度がいいでしょう。

④用紙タテおきタテ書き段組なし
②と大体同じです。あまり使いませんが、それだけにインパクトもあります。

⑤用紙ヨコおきヨコ書き
これもあまり使いませんが、数字を使った大きな表がわかりやすく入れられます。

複数の記事を入れるために段を組む場合は2段~3段程度がいいでしょう。

⑥ブロック組み
タテ・ヨコに関わらず使えます。編集がラクでスペースさえ決めておけば、記事を仲間で分担したりストックしておくことがラクにできます。紙面がやさしい感じになり、緊張感が失われ単調になります。あまり多くの記事を入れると、読者の目にとまらなくなります。

形式の違い

①軽印刷・手配り
もっとも一般的なものです。リソグラフなどで印刷し、職場委員などが配ることで、組合員同士のコミニュケーションも生まれます。郵送や社内便などは避けたいものです。部数が少ないときはカラーコピーを使うといいでしょう。

②壁新聞
組合掲示板がある場合は大いに活用したいものです。一つの紙面を大勢でワイワイ見ることで会話が生まれます。大きいからとあまり記事を詰め込むのではなく、活字を大きくしましょう。白黒だと単調になりますので、蛍光ペンやポスターカラー、カラーコピーなどで必ず「色」をつけましょう。

③Eメール
いわゆる「メルマガ」です。発行する手間・労力が省けますが、紙面が単調になる上に他のメールに埋もれてしまい、読まれなくなりがちです。手渡しをしないことで役員と組合員との距離が開きます。即時性は高いので紙の新聞と併用するのがいいでしょう。また、アンケートに使うと集計がグッとラクになります。

③ホームページ
非常にオープンなものです。その分、内部情報の掲載には気をつけましょう。組合員だけを対象にするのなら、暗証番号によるアクセス制限をかけることなども必要です。一定の専門的な知識と技術が必要なので、役員が代わることで混乱を招くことも考えられます。また、どうしても製作が1人に任せきりになります。
 一方で、掲示板の設置などで読者との双方向のコミニュケーションが可能になります。これも単独でなく紙の新聞と併用するのがいいでしょう